でも私めの事でございます。
本当は、季節に合わせた新製品をしっかりと仕上げておりました。その名も『蛍』でございます。
和三盆は四国でしか作られていない純国産のお砂糖ですが、その作業工程の中で、つくられるのが和三盆黒蜜でございます。和三盆のお菓子は、お客様の中で「京都のお菓子屋さんでよく見ますね」と、おっしゃられる方がおりますが、全て四国の和三盆製造業者に委託して自店の商品として販売しているのが実情です。表示をよく見ていただくと分かるのですが、「製造者」ではなく「販売者」となっているはずです。そうでなかったら単に表示違反を堂々としているだけです。
ともかく一度、和三盆のお菓子を召し上がった方ならば、
その優しい甘さと、硬そうですが口に入れると、とろけるが如き食感に驚かれると思います。
お砂糖にも沢山種類がございます。用途によって菓子店は使い分けるわけですが、和三盆の風合いと甘味度は世界一と評しておきます。
ただし、お安くございません。この和三盆を材料として、和菓子をお作りのお菓子屋さんは、私の知る限り関東でも数軒ではないかと承知しています。
その黒蜜を使用し、葛を練り上げ、羊羹舟に流し、一時間近く蒸上げて、冷ましてから切り分け、上南粉をまぶし上下を天焼し、寒天の黄色を少しつけて・・・という手間のかかる商品を発売しました。書いているだけで疲れます。
是非、一度ご賞味ください。庵主の自信作でございます。
話は変わりますが、先日、私が自費出版いたしました拙い冊子とでも言うべき「栃木の歌枕と藤原実方考」を三冊欲しいというお客様がいらっしゃいました。残念ながら自宅にある分を含めて最早三冊しか残っておりません。一冊だけ謹呈させていただきましたが、お話を伺うと、お母様が宮城県名取市の方でした。名取市はご存知のように、昨年の災禍によって大変な被害にあわれました。そんな中、不幸中の幸いとでも言うべきでしょうか、「藤原実方の墓所」があるのですが、無傷で残ることができました。そして今年十月、実方の命日に毎年行われておりました「藤原実方朝臣墓前献詠会」が開かれ、その実行委員をお母様が担っていらしゃる、とのことでした。
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