
宇都宮市の北部の誠に広い敷地の中に、実に落ち着いた雰囲気を感じさせてくれる美術館がありました。クリムト生誕150年記念(厳密には151年)として、彼の主要な作品が沢山展示されておりました。十九世紀末の西欧に於ける、特に、オーストリア・ウイーンにて、どちらかといえば華麗にして優雅な、雅と甘美を感じさせてくれる作品群でございました。美術工芸品なども陳列されておりまして、世紀末ウイーンの諸相がよくわかります。
それにしてもこのパンフレット上にあります「黄金の騎士」には、当時の旧弊なる美術界をぬけだした「ウイーン分離派」の中心人物としてのクリムトの、強固な意志と感性が感じられます。守旧派に敢然と立ち向かう彼自身を描いたとも言われますが、謎の部分も秘めた作品でもあります。よくご覧いただくと分かりますが、左下、隅に黄金の蛇が描かれています。毒蛇でしょうか、しかし馬も馬上の騎士も敢然としているさまがよく感じられます。《人生は戦いなり》の副題がついております。
江戸時代前期の「花唐草模様」や鈴木其一の《秋草図》、蒔絵硯箱なども展示されており、いわゆるジャポニズムの影響の大きさを実感させられます。

財団法人としての宇都宮美術館の立地条件や、環境にも驚きました。林間を吹き抜けるマイナスイオンを浴びつつ、駐車場までの散策もおすすめコースとして記しておきます。ただし館内のフレンチは今ひとつというか、企画展に合わせたとかいうランチの写真と実物の違いに少し落胆致しましたことも、これからのためにと思い正直に書き残しておきます。
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