『で、私は歌いつづけた。
「橘かおる朝風に、高く泳ぐや、鯉
のぼり」
私は五月人形というものが好きではない。
桃太郎も鐘馗様も安っぽい。三月の雛人形にはかなわない。
やっぱり人形は女の子のものだろう。鯉の吹流しはいい。あれ
は実にいい。さっぱりとして、勇壮で、馬鹿馬鹿しい。無意味で
美しい。私は鯉のぼりの無意味には、意味があるはずだと思っ
ている。』
八重の桜と巴川の鯉のぼりです。 |
更に調子に乗りまして「酒飲みの自己弁護」から『酒飲まぬ奴』の一部をご紹介します。
『酒の飲めない人は本当に気の毒だと思う。私からするならば、人生を半分しか生きていないような感じがする。
ちょっと分かりづらいかもしれませんが、強風の中です。 |
フグをジュースで食べている人を見るのは哀れである。
ビールでも駄目だ。ふぐは日本酒に合うようになっている。
カキは葡萄酒だろう。生ガキをビールを飲みながら食べている人を見ると、見ているだけで、こっちの腹がだぶだぶしてくる。』
先生は自らを山本周五郎先生同様、偏屈な人間であると自称しておりましたが、飲み助には、よく理解できてしまいます。ただし、振り返ってみると、随分と無駄なお金や、時間を、しかも二日酔いの中で過ごしたことか。次のページには『酒のない国』として、
『酒の害は、それがあまりにも楽しすぎるからである。
たのしいから飲んでしまう。元気になるから飲んでしまう。
あまりにも楽しすぎるので、神様が、私のような者でも禁酒州を考えるような罰をあたえてくれるのである。酒の害は楽しすぎることにある。』と、自省しております。
かのこ庵は「かしわ餅」一色状態です。 |
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「酒飲まぬ奴」 |
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「酒のない国」 |
「天声人語」には山藤章二様のお名前も出ておりましたので、今回の二作に登場します挿絵(?、ではなく作品です)もご紹介します。
神田「やぶそば」さんが、「山の上ホテル」さんが出火いたしました。どうも先生の「行きつけの店」の災いが続いております。気を付けましょう皆様、火の元には。
ところで今年の入学式に、内祝いとして「紅白鳥の子餅」のご注文が数口ございました。別名「鶴の子餅(厳密には少し意味合いが違うのですが)」ともいいます。鶴の卵の形を模して作られます。ハレの日(めでたい日)が末永く続きますように、との願いがこめられた和菓子なのです。
ですから、主に七五三の時に、ご注文がたくさん入りますが、出産祝いや、入進学、就職祝い、快気祝い、新築祝い等、あらゆるお祝いごとに使われます。
かのこ庵の「鳥の子餅」は上新粉に適度な甘さをもたせた「すあま」で仕上げます。その柔らかさと上品な甘さが自慢です。最近はあまり見かけなくなりました。一度何かのお祝いに御注文してみてください。その懐かしさと美味しさに驚かれると思います。
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