2012年4月30日月曜日

「惜春」

 少し昔の作品ですが、恥ずかしながら冒頭からぬけぬけと掲載しております。
 道を迷ったのは別な意味で色々とその通りかもしれませんが、名残の春の陽を背中に感じつつ描いていた若き日の己を思い出します。

  『而今至処成荊棘
    却笑春風吹繚乱』

  『又況活計具足 風景不疎
   華解笑 鳥解啼
   木馬長鳴 石牛善走
   天外之青山寡色
   嶺上猿啼露湿中霄之月
   林間鶴唳風廻清曉之松
   春風起時枯木龍吟
   秋葉凋而寒林花散
   玉堦鋪苔鮮之紋
   人面帯煙霞之色
    音塵寂爾
   消息宛然
   一味粛条
   無可趣向』

 化け文字では有りません。突然の漢字の羅列ですが、「正法眼蔵、行持 下」よりの抜粋です。左の文字では何が何だか読めないというか、分からないという私の曲字による代物ですので活字に直しました。
 墨を磨って、その香りが好きなのですが、写経や古文を書写する時間は以前からでは少なくなりましたが、没我のひと時が得られます。漸く初夏の候を迎える季節になって我が体調も、気力もいささか回復して来ているのを感じます。お届けで外に出ますとハナミズキや菜の花が満開に咲いているのを眼にしますが、うれしくなります。
何しろ4月もあっという間に終わりです。薫風の五月ですからねー。
 話題はガラリと変わりますが、司馬遼太郎先生は「八木一夫を評して」というエッセイの中で『伝統工芸は、九割までが技術で、あと一割が魔性である。その魔性がどう昇華するかで作品が決まってしまう。』と書いております。
 6月に予定している『物造り工房』はとても比較には成りませんが、各自の心意気は是非お認めいただきたいと思います。何しろ其々が時間を作っては、会場の補修やチラシや手作りの看板作りに奔走しております。魔性というよりその前向きな気持ちをご理解いただき、ご来場くださいますよう重ねてお願い申し上げます。



2012年4月26日木曜日

「とちぎ物造り工房」の概要が決まりました。

 お待たせしました。
 少し名称が変わりましたが、『とちぎ物造り工房』の概要が決まりました。
 昨年「物造り空間工房」として初めての、異業種がコラボしてのイベントを実施させていただきました。しかし、如何にその道のプロの集まりとはいえ、イベントのプロの集まりではありませんので、お客様に対して、好評では有りましたが、決して充分なおもてなしができたかいささかの反省もありました。そこで、その反省を生かしつつ、今回は商工会議所様の後押しと、全面的な応援を仰ぎながらの、本格的な「工房」のオープンとなりました。
   とはいえ、三日間限定の開場となりますので、日程の調整がおつきにならない方もいらっしゃるかと存じますが、可能なお客様の沢山のご来場をお待ち申し上げます。
 会場は前回とは比較に成らないほど広くなりました。
 そういう意味では前回はプレオープンと言えますか、つまり今回が正式なイベントといえると思います。いずれに致しましても、チケット(2千円)の購入をお願いしてのイベントでございます。ご満足いただける、内容のある3日間と致すべく、すでに準備に入りました者も居ります。事前の打ち合わせ会も何回も開きました。
 何卒ご期待の程、又、ご来場の程、切にお願い申し上げます。チケットのご予約、ご購入、お問い合わせはかのこ庵、又は、各スタッフまでご連絡ください。前回と違いまして、会期中の開場時間中でしたら随時ご入場いただけます。又更に、チケットの裏面には隠れた特典をご用意いたしました。正直「絶対にご損のないイベントです」と申しておきます。

 しかし、あっという間に風薫る季節になりました。あちこち沢山の季節の花が、そして、新緑が眼を楽しませてくれています。ただ残念なのですが、昨日、吹上町の「さしも草」の生育振りを見てきたのですが、何とも寒かったのですね今年は。
 未だ摘み取り出来るほどに成長しておりませんでした。 去年は20日頃に一回目の摘み取りをしていたのですが、恥ずかしくて写真にも撮ってきませんでした。
 G/W明けにならないと無理な様子です。

2012年4月20日金曜日

「さくらがり 雨はふりきぬ ぬるとも花の かげにかくれむ」実方

 しばらくぶりのカキコミです。すみません。相変わらず微熱状態プラス、やや花粉症が始まったようでしてどうにも、集中力が喪失しています。先日は二日連夜の打ち合わせ会や集まりがありまして、殆ど午前様となり反省の日々ですけど、止むを得ない集まりであったことは事実です。商工会議所の喫茶室をお借りしての打ち合わせなどをやっています
 今日は「穀雨」ということですが、今にも雨が降り出しそうな空模様です。桜前線は東北の被災地を通過しているようですが、遅咲きの八重等が栃木では今も楽しめています。柳も芽吹いてきました。あちこち、すでに薫風をも感じさせてくれる季節にやっとなりました。
書きたきことがいくつもあります。でも少しお時間をいただきますことご諒承の程。

2012年4月10日火曜日

さしも草、順調に成長しています。

 お店の前のプランターの「さしも草」が順調に成長しています。時折、風の冷たさを未だ実感いたしますけれど、それでもやっと春本番というところですか。このプランターのさしも草は1m程にしか成長しませんが、吹上町で育成されています物は2m近くにまで育ちます。前回のカキコミで一昨年のさしも草の写真を掲載いたしましたが近くの土手やあぜ道に自生する蓬とさしも草の違いはお分かりいただけたでしょうか。   摘みごろになったさしも草は葉先の細い7つ裂きの形状をしています。昔は食用というよりも、艾(もぐさ)としてその薬効が広く知られ、流通していたとの記録が残っています。
 しかし、艾と言われてもご存じない方も現代では多いと思います。私も、もうしばらく実物を拝見しておりません。
 艾とは、このさしも草を乾燥させ細かく刻み、小さく丸めたりした物の呼称です。この艾を身体のつぼに乗せ、火をつけます。昔々に経験がありますが、その薬効よりも、いやあ熱かった事、熱かった事。どの程度に効果があったかは忘れましたが、現代ではもっと素晴らしい医薬品が氾濫してますのでなんとも分かりません。消滅しかかっているとも思いますが、でも、鍼灸師さんの世界では未だに通用しているはずです。
 艾に関連してもう少し、さしも草について書こうと思っていたのですが、外の雰囲気がどうも気になります。あちこちでたくさんの草花が咲き出しています。
 敬愛し私淑する、故 山口瞳先生の作品に「人生論手帳」というご本がございます。少し長くなりますが引用します。
      
  「・・・で、私は歌いつづけた。
  『橘香る朝風に、高く泳ぐや、鯉のぼり』
 

 私は五月人形というものが好きではない。桃太郎も馗様も安っぽい。三月の雛人形にはかなわない。やっぱり人形は女の児のものだろう。鯉の吹流しはい。あれは実にいい。さっぱりとして、勇壮で、馬鹿馬鹿しい。無意味で、美しい。私は鯉のぼりの無意味は、意味があるはずだと思っている。」
 この時期、店内に上記の文章を貼り出しておきます。
 
 

 漸く風薫る季節です。しかし一ヶ月前までは大方のお客様が「草餅」「草餅」と仰っていましたのが、時には今でもおりますが「かしわ餅」となりました。
 『敷島の 大和心を 人問はば 朝日に匂う 山桜花』
 国学者本居宣長の和歌ですが、日本に生まれ、又、この桜の季節を迎えることが出来た幸せをありがたく思います。

 今夕5時から、「物造り空間工房」の打ち合わせ会がございます。
 6月8~10日の予定ですが、前回より、規模やその内容がだんだん大げさになってまいりました。無事に乗り切れるでしょうか。いささか不安になってまいりました。しかし、もう後戻りは出来ません。こうなっては「乞う ご期待」と申す他ございませんようです。

お店の駐車場やご近所の春景色でございます。




 時々、無断で撮影しておりますが
お許しください。

2012年4月6日金曜日

丸い形ではない「かしわ餅」の販売開始です。

 少し、間が空いてしまいました。お詫びします。
 いけませんねえ、軽い風邪ですが又してもやられてしまい、微熱ですがなかなか立ち直るのに時間が掛かるようになってしまいました。それでも繁忙期です。通常どうりに働いています。というか、お蔭様でご注文を書き込んだ用紙が一向に減りません。今日は県立高校さんの入学式でした。仕事があること自体感謝せねばいけません。
 とは言うものの毎晩、早寝、熟睡の日々です。よくこんなに眠れるものだなあ、と自分で感心しています。

 「招福金箔草餅」、「さくら餅」は今年の生産予定数を完売いたしましたので終了となりました。今年は黄名粉の草餅が思った以上によく売れました。いつもご贔屓いただいているお客様から「色々なところから草餅をもらうけど、あなたのが一番うまいと社員全ての意見が一致したよ」とほめられたのは、正直、嬉しかったというか、これこそが商売冥利というものなのでしょう。

 かしわ餅の粒あんはそんな訳でさしも草を使用した餅生地にて続けて販売してます。しかし、二月の末、新宿のデパ地下をのぞいて来たのですが、すごいの一言ですね。
 草餅、桜餅がかのこ庵の価格の倍の値段で売られています。テナント料を計算に入れたとしても私には驚きの価格でした。3店のお店から少しづつ買い求めまして、試食してみました。しかし、これも驚きですねえ。あん入り草餅に黄名粉をまぶしたりと、手を変え其々に個性を発揮しています。何よりもどちらの品物も色がとても濃い深緑色でしたが、率直に書きます。色の濃さ程には蓬の香りが少ないのです。連れがいたのですが、思わず顔を見合わせて「うーむ」状態となりました。しかし着色料使用の表示も無く、しかしそれにしてもそんなわけは無いけれど、これが現実の一流百貨店の草餅かよ、と書いておきます。

 一昨日、定休日でしたが少し体調も戻ってきましたので、
佐野のアウトレットに仕事用のバッグを求めて(何も他のお店でもよかったのですが)行ってきました。しかし、私が無知なのでしょう。ブランド物の価格が凄いのですね。
 予定していた価格よりも明らかに十倍以上します。ところが入り口でメンバーカードを無料で配っておりまして、それをもってひとまず物色してますと、殆どの品が50%引きでして、更にそのカードを利用すると何と更に30%安くなります、と店員さんから教えられました。
 ぼう然、唖然としつつもそれなりに頭の中で計算してみましたが、つまり10万円の品が3万5千円に、つまり65%引きとなる訳です。それでも私の購入予定価格とは大きな開きがありましたので、何も買わずに帰ってまいりましたが、
少しこの世の中、間違っていませんかねえ。いくらなんでも少しばかりの型落ちだからとしても、それでもあれだけの従業員を使って損して商売するわけないですものねえ。本来の原価が凡そながら想像つきました。
 日本はこんなに豊かな国なんだ、と幸せな気分に(嘘です)させられました。
 長くなります。手元にその本がありませんのでうろ覚えですが、竹中平蔵さんのかなり以前の著書の中に「世界中のお客を乗せた客船が事故に遭い、沈没の危険性が出てきた。そのとき船長はドイツ人には『これは規則ですから』といって女性や子供を先に下船させた。アメリカ人には『君は英雄にはなりたくないのか』と説得し、日本人には『誰もがそうしていることだから』と話して全て順調に下船させた。というのが有りました。
 国民性というものがあることは厳然たる事実ではありますが、どうも今更ながら、日本人の気質がよく現されていると感じます。しかし、所詮、金欠なる人生を長年過ごしてきました私には、所謂ブランド志向という物がもともと薄弱でして、時に「あれ今日のルックスは全てユニクロじゃん」なんていう日が結構あります。
 価格の高いものは間違いなくそれだけの価値がある、という認識はこれからの日本という国の実態を考えると、私達は少し立ち位置を変える必要があると実感させられた「我が買い物記」でした。
今朝のお届けでカメラに撮ったはずの商業高校様の3分咲きの桜がSDカードをロックしたままの状態でして失敗の巻となりました。忙しかったのです。と、言い訳しておきます。
 
 

さしも草の話になかなか入れませんですね。今回、トップの写真は、一昨年物のさしも草の写真ですが、これだけアップして、本日はここまでです。