2016年3月31日木曜日

続「ゴルドベルグ変奏曲」

 昨年秋の集中豪雨での被害を受けた者として、今年の冬はどうなる事かと心配してましたが、どちらかといえば比較的穏やかな冬であった、といえます。

 そしてあっという間に春が来、もはや薫風の季節です。
 かのこ庵では「草餅・桜餅」が終了し「柏餅」が本日から店頭に並んでおります。日本に四季があることを感謝し、少しづつ先取りしての丸くない柏餅です。

 数年前にさる方から「グレングールドの『ゴルドベルグ変奏曲』」を頂戴いたしました。しかも、1956年初録音物と、1981年再録音物です。当然、昔私が聞いたのは初録音物でしたが。
 ご存知の方は多いと思いますが、旧来のバッハ演奏物と違い、軽やかにして躍動感あふれるジャズっぽいピアノソロに仕上がっています。再録のほうは、更にスピード感が増し、かなり脳波が刺激されます。それでいて、再録版の方が演奏時間が少し長いのですね。リヒテル曰く「バッハのもっとも偉大な演奏者」となりますが、私がジャズオンリーからクラシックに転向して間もないころでしたので、その刺激は強烈なものがありました。

 それにしても便利な世の中になりました。ネットでの無料動画配信にて、ほぼあらゆる物がみられる時代です。是非ご興味がございましたら彼の演奏スタイルも含めて御覧なさることを、お薦め申しあげます。
 レジェンドとなっている彼のピアノ奏法、ハミング、30センチしかない低い椅子での左右の手指の交差等、圧倒されます。

 時間切れです。できれば少しづつこの『変奏曲』を中心にして書き込みしたい、とは思っています。



2016年3月30日水曜日

ゴルドベルグ変奏曲

 昔の話です。しかもほぼ半世紀になりますか。
 学生時代、音楽研究会のジャズバンドにてベースを担当させられました。嫌いじゃないから何でもやってみたかったのです。
 その頃に先輩から「グレン・グールド」のゴルドベルグ変奏曲を聴くよう薦められました。今風に言うなら「超絶技法」とでも云うのでしょうが(こんな単語は山口瞳、丸谷才一先生他多数の作家からは別な語彙を探しなさいと叱られそうですが)驚きました。しかし何しろジャズに傾倒していましたので2~3回ほど聴いて、今与えられし曲目の楽譜に集中してました。
 しかし何とも相変わらずの落ちこぼれにして、まさに青春真っ只中の恋とジャズと学生運動と油絵(美術研究会にも所属してたのです)の日々でした。思えばあの頃からずうっと右往左往する人生の始まりだったかもしれません。
 先輩の女性とデートの時間を決めつつ、同級の女子とうわの空での苦いコーヒーを飲み、その合間に音研、美研の部室を覗き、それなりの時間を過ごし、黄昏時には渋谷のジャズ喫茶か、安くも無い呑み屋で、深夜まで激論・・・。
 あの頃に私の走り回る人生の起点が出来上がっていたのでしょうか

 「ゴルドベルグ変奏曲」でした。

 すみません。
 書きかけも書きかけですが、今夜はここまでです。
 時の移ろいをそのままに、中途半端ではありますが、アップします。つまり毎日、少しづつ書き足す事も己の心の動きの表現にもなるかと・・・。

 このコーナーは長くなりそうです。2016/03/30 私には深夜です。

2016年3月23日水曜日

「こしあん」・「粒あん」

 あなたは「こしあん派」ですか「粒あん派」でしょうか。

 ご無沙汰でした。何しろ繁忙期でございます、ご容赦の程。
 相変わらず多忙を極めておりまして、先日は栃木市と隣接する下野市との境にある「思川に架かります『大光寺橋』」が新しく架け替えられまして、かのこ庵のお赤飯が600パックというご注文がございました。傷みがひどく、増水時には通行止になる状態でした。知事さん、県会議員さん市長さん他、沢山お偉い方が出席になっての式典でした。誠にありがたいことですが、朝9時までにというご注文です。納品後はほとんど仕事になりませんでした。
 作らねばならない商品が沢山あるのですが・・・。
 得意のボヤキからの出だしです。

 随分以前に「苺大福」はこしあん以外のあんこは合わない、と書きました。先日、お客様が「鹿沼にもよく売れている苺大福があるんだが、粒あんだから嫌いなんだ」、「お前の所のはこしあんだし美味いから栃木まで買いに来るんだ」と。
 顔にこそ出しませんでしたが、うれしかったですね。こんな時に商いの妙味が感じられるわけです。だから辞められないのでしょうか。少なくとも「苺大福」はこしあんか白あん、少なくともさらし餡に限るとしつこく書かせていただきます。
 
 しかし、ここまで書くということは「かのこ庵の主人はこしあん派だな」と分ってしまいますね。
 お菓子の組合の寄り合いにたまに顔を出します。すると、こしあん・粒あんに関して話題になることがございます。その結論とまで断定はできませんが、概ね和菓子に限らず洋菓子店の主人達の多くは隠れこしあん派が多いといえます。都内山の手の、銘店呼ばれる老舗の和菓子店さんでのメイン商品は概ねこしあんです。更に書くなら、金沢や松江では茶道が盛んですが、伝統文化の根付いた街と言えます。そこにおける和菓子の主流は「皮むきこしあん」です。
 決して粒あんを否定するものではなく、粒あんだからこそ美味いと私が呼べる和菓子も沢山ございます。例えば「どらやき」、手前勝手ですが焼菓子の「伊吹山」、「招福金箔草餅」、「茶まんじゅう」等でしょうか。

 さて、困りました、どっちも好きよという方もおられます。
 しかし、例えば「おはぎ」なら粒あんだけご指名の方も、その逆も半ばしております。

 これは結論ではありません。
 そして、和菓子店の主として、お客様の好き嫌いを語ることは出来ません。ただ、和菓子組合の席での雑談ですが、粒あんは小豆をそのまま煮込み煮詰めていきます(勿論、下処理や死に豆の選別等必要です)が、こし餡は何ゆえ「晒して絞り上げる」という工程を、つまり一手間かけるのでしょうか。
 皮の部分を取り除いて小豆の中身だけを使用したあんこを作るということです。

 正直なところ、小豆などの皮に旨み成分はありません。強いて言うなら、食物繊維やカロチンなどの栄養素でしょうか。

 前述した「皮むきこしあん」の商品は、かのこ庵ですと「あん豆腐」、「なまずっこ」に使用しています。
 有難い事ですが発売開始して以来20数年経過しています。
 そして、ご指名のお客様が大勢おられます。
 
 あまりにも「さらしあん」にこだわった書き込みでした。
 ここまでの人生で、遠慮して書かなかった事を少しづつ、又、書き始めます。

 この書き込みには凡そ一ヶ月掛かりました。でも元気です。もしかしたら昨年以上に。
 
 少しづつ。
 
 次回はバッハです。馬鹿かお前は、と言われそうですが・・・。