2012年5月16日水曜日

「十二単衣を着た悪魔」内館牧子

 先日(母の日)、麻生葦乃様の川柳が天声人語にて紹介されておりました。そこで私の今回のブログの書き出しは時実新子様の「れんげ菜の花この世の旅もあと少し」から始めます。まだまだとは思いつつも、そんなに残りが少なくなって来ていることをも感じる昨今です。お届けの途中で見かける何気ない花々に時に感傷的になっている己を発見します。
 麦秋にはもう少し時間が必要なようです。我が家の狭い庭ですが、ここには植えたはずの無い場所に「石楠花」が咲き出しました。それにしても明らかに五月の風を感じます。

 内館牧子様の「源氏物語異聞」として『十二単衣を着た悪魔』という殆どタイトルに魅かれて買い求めた本を読了させていただきました。構想半世紀、著者渾身の書き下ろし小説!ということで原稿用紙861枚(400字詰め)の作品です。
 源氏物語を正面から読み進めてきていたものには、正直、源氏物語の裏面史を、そして表面には見えていなかった登場する女性群の心の中というか、人となりが実によく確認されます。紫式部が描ききれなかった、あるいは意図的にわずかしか登場させなかった「弘徽殿女御」を中心にタイムスリップしてしまった、現代のいま一つも二つもさえない若者との話が、会話が、興趣を盛り立ててくれます。
 作品のあらすじをここで紹介するのは控えて当然と思いますが、作中の時代考証がとても参考になります。
 平安時代の王朝貴族や女君達の、そして召使達の日常の生活や、以前、拙著の中で、瀬戸内寂聴様が疑問を呈していた「あの長い黒髪を洗う時はどうやって洗ったんでしょうか、洗うと当然濡れますでしょ、重くってしょうがないし、乾かすにも大変ではなかったのではないでしょうか。第一そんなときに男が訪ねて来たら大変ですよね。何の最中に髪がからまってしまい収拾がつかなくなるわ」と。
 この作中で、「女達は月に二回くらい髪を洗うらしい。シャンプーもコンデショナーもなく、米のとぎ汁で洗う。ドライヤーもないし、あの長い髪を乾かすには「三日ほど掛かります。乾くまでは全て休み。何もしなくていい三日間」とありました。  更に召使達は、一様に臭い(私達現代人にとってはの話ですが)そうでして、勿論、入浴何て有りませんから。宮中の天井は高さもあり、又、吹き抜ける風にてそれでもクーラーに慣れてしまった私達には相当に夏は暑かったでしょうし、でもたまに、身体を拭く程度。だから垢じみて、埃っぽく臭いとなる。歯は指に塩をつけて磨き、歯に挟まった食べ物のかすは楊枝のようなものでこそぎだす。冬の寒さをやり過ごすのは現代人には命がけのようです。NHKの大河ドラマ、余り視聴率が良くないようですが、兵庫県の知事さんが「登場人物が余りにも汚い」と話していました。
時代考証にて忠実に再現するとあれが本当のようです。
 しかし「日本の女は、千年前からしたたかだった」とあります。誠にか弱そうに見える女性達ですが、内館牧子様に料理されると其々がその時代の中で必死に生き、時に光源氏よりも逞しく恋をし、生きてきたことが分かります。
 勿論、袖を絞ると涙の水が流れ落ちるほどに泣き過ぎでは、というのも当時の流れであって、それでも公達たちよりは女性の方がしっかりしていたという印象です。

話はかのこ庵のことになります。
ファンケル社製の発芽米粉を餅生地の中に仕込みまして身体に優しい「発芽米大福」を開発、新発売でございます。ファンケル社様からは表示に関してその旨の了承をいただいております。あんは皮むきこしあんを使用しまして、その滑らかさを特徴と致しました。その代わり、餅生地の表面は「氷餅」という少しざらつく感じの仕上げを施しました。一度はお召上がりいただきたい逸品ですとお薦めします。
青竹筒入り「水ようかん」も販売を開始いたしました。
あわせてご愛顧のほどお願い申し上げます。
 実は今週初めから発売開始したのですが、好評でして
 いつの間にか売り切れております。10本以上のお買い求めはご予約いただければありがたい、と存じます。
  5~6月は毎日平均20~25本を、目途に生産して
おりますので。

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