2014年4月17日木曜日

「江分利満氏の優雅なサヨナラ」山口 瞳

 入進学シーズンも過ぎ、少しは一段落するかと思っていたのですが、甘い見通しでした。栃木市内は13日から市長選と市議会議員選挙がスタートしてまして、もはや終盤戦です。
 ありがたいことなのですが、一騎打ちとなりました市長選、そして日頃からご贔屓いただいている市議会議員さんの両陣営からお赤飯のご注文が、半端ではない数で入ってきております。

 13日の出陣式、20日の投開票日にと、当選を見越してのご注文です。昨日の定休日は半日が仕事、残りは両陣営のために動き回っていました。本来、私の様な商いを営む者が、特定の候補者を応援することは甚だまずいのですが、日ごろお世話になり、又よきお客様でもある場合、色を出さざるを得ません。
 この週の日曜日はかくして赤飯一色の極めてビジーな、そして力仕事が必要なハードな日となりました。G/Wも控えています。いましばらくの辛抱です。

 一昨日、ベッドに入ってから気づきました。いや、思い出しました。柏餅の事を考えていたのですが、突然、山口瞳先生の奥様、治子様が「私は柏餅は味噌あんが好きなのよ」と仰られたことを。
 ということは、・・・あ、そうだ、あれは先生が慶応病院に入院されているときのお見舞いに持参した柏餅の味噌あんの事だと。
 ということは、・・・G/W前の事、しかも先生がお亡くなりになられた年の事だったと。

 今日は4月17日ですが、「男性自身」も最終章を迎えようとしている時期の事でした。早速起きだして「江分利満氏の優雅なサヨナラ」を開いてみました。
 家内を同伴して慶應病院を訪れ、お見舞いしたことが先生の作品中に記されています。4月16日の事でした。流石に先生は少しお召し上がりになっただけでしたが、治子夫人が美味しそうにお召し上がりいただけた事が、今はっきりと思い出されます。先生もお元気でした。栃木市に来られた時に、市内の骨董店で先生がお買い求めになった佐渡の小さな石仏の話が出ました。いささか緊張しておりましたので、詳しくは思い出せません。でも、自宅の庭に置いてあって「家内が殆ど毎日、石仏に手を合わせていますよ」、と話されたことを思い出します。
 19年も前の昨日の事だったのでした。
 そうです。あれ以来、私が佐渡に旅したのはかなり前ですが、
私も同様の石仏を探し求めて、骨董店を覗く日々がありました。しかし、栃木市内のその骨董店にも、佐渡でも見つけ出すことが出来ずに今日に至っております。


 「男性自身シリーズ最終巻」のタイトルは「優雅なサヨナラ」となっていますが、ご子息、正介様の先生の最後をお書きになったご本の中では「かなりひどい痛みを抱えての旅立ちであった」ようです。ただ、ホスピスから自宅に戻られて自室の寝室に横たわれておられた先生のお顔は、実に穏やかなものを感じましたが。偶然にしても、いかに私淑しているとしても、一介の和菓子屋の店主には貴重な出会いでございました。
 実は私、先生がお亡くなりになった同じ歳になっております。  
 あまりにも早すぎる御逝去です。


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