残暑(しかも猛烈な)、心よりお見舞い申し上げます。
八月の初旬に、上棟式用のお餅のご注文がございました。
写真をご覧いただければお分かりと思いますが、ここ栃木においては、家を新築なさる時、お飾り用のお餅と振る舞い餅、通称「振り餅(丸餅)」が使用されます。
最近は簡素化が進んでおりまして、ご準備されるご家庭は少なくなりました。
本来ですと、棟上げ、つまり、家の基礎ができ大黒柱を立てて、屋根の柱組と屋根葺きが仕上がった段階で、神主さんをお呼びし「入魂」をしていただき、末永い家内安全をご祈願します。
その際、新築なされる建物中心部、大黒柱付近に祭壇を設け、そこにお榊などと一緒に、大きめの通常は一升餅を飾ります。二段重ねの鏡餅です。又、四方には四方固めとして、通常二合の重ね餅を、四組配置します。
お墓をお作りになる時も、あれもひとつの「家」として考えますので同様に準備します。これらは全て施主様(家をお建てになる方)がご用意します。
「振り餅」は新築なさる方に近いお身内の方が、お祝いとしてご提供なさいます。祝詞が済みましたら、関係者が屋根に上がり、お集まりのご近所の方へ、お祝いのお裾分けと、将来の懇意なるお付き合いを願って、お菓子や、おひねり(半紙に小銭を包みます)、そして紅白のお餅をまきます。
かのこ庵では、振り餅のご注文はお受けしておりますが、以前に比べると少なくなりました。多くて月に一口程度ですか。
なかなか作らない商品ですので、ご紹介した次第です。ただ写真を見ていただいてお分かりいただけると思いますが、かのこ庵の場合、紅白で5個づつ袋にお入れしてます。その日の天気にもよりますが、やはり直接に裸のお餅をまくには衛生的にどうもと感じ、5個入りとして、袋詰めしたものをご提供させていただいております。これを、ご近所や、大工さん、神主様に、まかずに差し上げるようご指導しております。
このようなことは、面倒といえば面倒なことでして、いわゆる最近の大きな住宅展示場などに出店されてるような大手メーカーさんの建物では先ずご注文はありません。神主さんへのお包みなどを含めて、全て、お金のかかる話です。施工主さんへのご負担を考慮して、ということのようです。こういうことに名古屋方面では大変な費用を惜しまず、かなり派手におやりになられるそうです。栃木でも昔気質の大工さんや、そのしきたりをご存知の方がおられるとなさられるようです。
作り手としては、誠にありがたいご注文です。
精魂込めてお作りさせてもらいます。
ただし、この時期、熱いものは暑いですねえ。冷めるとうまく丸いお餅になりませんので、手の平が真っ赤になります。何事も簡単にはお金にならないよう出来ております。
杵つきの本格的なお餅、しかも紅白となりますと、最低、三升分からの受注となります。ご家庭用の餅作り器と違い、少量では、色付けができないからです。従って、一個約40g白3、赤2の割合で最低、5個入り約27袋の振り餅が出来上がります。
価格はお米の相場に変動がございますので、その都度、お問い合わせください。
お供え餅(鏡餅)作りは暮れの和菓子屋の年中行事ですが、おかげさまで「岩手県産のひめのもち」を使用しており、その味の良さに毎年ご注文が増えております。正直、新潟県産の真空の、のし餅や、鏡餅と味の違いを比べていただきたい、といつも思います。たかがお餅、されどお餅なのです。
先日、あるお客様から、こんな言葉を頂戴いたしました。
「随分と丁寧な物造りをしているんだねー」と。
さほど意識していたわけではありませんが、結果がそうなっているのでしょう。
今回は純粋に、かのこ庵のお餅のご紹介編でした。
最後の写真は、大きい順に一升、五合、二合の鏡餅用型枠です。昔は餅とり粉の上でクルクル転がしながら成形したものです。
実物は、どうしても型から出しますと、多少つぶれてまいります。
若干、型よりも大きめになることをご承知ください。
新規にご注文、入るかな?
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