2012年5月19日土曜日

「氷餅」とはなんぞや。

 前回のカキコミで「ファンケル社製の発芽米」を使用した
「発芽米大福」の新発売をご案内いたしました。その中で、
表面には「氷餅を使用」と書きましたが、早速、数名様から
「氷餅とは一体、いかなる餅なるや?」、とのご質問がございました。
 発芽米をご存知の方は流石に多いのですが、氷餅はご存じない方が圧倒的でして、正直、かのこ庵のパートさんも沢山いるわけではございませんが、誰も知らないとのことでした。そこで「氷餅」の講釈の巻でございます。
 製菓原料「御氷餅」と表示されております食材です。今年の諏訪湖では一月に湖面全てが結氷するという寒さがあり「お神渡り」という神事がございましたが、信州でもあのあたりの寒さは格別といえます。
 その寒さを逆手にして、「寒天」や
「高野豆腐」、「氷餅」等が昔からの生活の知恵として作られてきました。
信州の各地で冬の厳寒期に餅米を利用して作られた保存食でもあり、和菓子の材料ともなります。写真でお分かりいただけますでしょうか。寒天同様、棒状ですが搗きたてのお餅を短冊状に切り和紙に包んで編みこみ、4~5日ほど水に浸漬します。その後、外気がマイナス10度C以下の寒中で、夕方に、軒下につるし凍みた状態のまま乾燥させて作られましたものが氷餅です。いわば、お餅のフリーズドライとでもいえますか。離乳食、病中の流動食、和菓子の素材として、昔からの安心安全な添加物の一切ない自然食品な訳でございます。
  
穏やかな今朝の巴波川風景です。プラス開店前のかのこ庵です。それにしても、我ながら若くもないのに次から次へと新製品を考え出すものだと、うぬぼれでなく思います。好きなんでしょうね。作るということが。しかもこれは年齢も関係有るのかもしれませんが、身体に優しい商品が圧倒的といえます。
「お前、大分暇なんとちゃうか」といわれそうな写真の数々でございます。が、それなりに、このブログをお楽しみいただきたく早起きしたりしてる次第です。でもいい季節になりました。これでお店の売上げがもう少し有ると、ニコニコおじさんでいられるのですが、「とちぎ物造り工房」も迫ってまいりました。打ち合わせから、実際の下準備へと正直いささかあせりを感じての毎日でもあります。
  前回の、内館牧子様の書き下ろし小説は、小説とはいえ「源氏物語」を新しい視点からとても面白く解釈してくださったなあ、と関心いたしましたが、それよりも「権記」や、それらに付随する王朝物のカキコミがそれっきりではないか、と、突っ込まれそうですが今しばらくお待ちください。なかなかになかなかでして、気付いたことや、これはと思う事柄があるのですが、全体としてもう少し、我が乏しき脳中を整理しないといけません。小出しに、少しづつではいけないと感じてまして、今しばらくお時間を下さい。

2012年5月16日水曜日

「十二単衣を着た悪魔」内館牧子

 先日(母の日)、麻生葦乃様の川柳が天声人語にて紹介されておりました。そこで私の今回のブログの書き出しは時実新子様の「れんげ菜の花この世の旅もあと少し」から始めます。まだまだとは思いつつも、そんなに残りが少なくなって来ていることをも感じる昨今です。お届けの途中で見かける何気ない花々に時に感傷的になっている己を発見します。
 麦秋にはもう少し時間が必要なようです。我が家の狭い庭ですが、ここには植えたはずの無い場所に「石楠花」が咲き出しました。それにしても明らかに五月の風を感じます。

 内館牧子様の「源氏物語異聞」として『十二単衣を着た悪魔』という殆どタイトルに魅かれて買い求めた本を読了させていただきました。構想半世紀、著者渾身の書き下ろし小説!ということで原稿用紙861枚(400字詰め)の作品です。
 源氏物語を正面から読み進めてきていたものには、正直、源氏物語の裏面史を、そして表面には見えていなかった登場する女性群の心の中というか、人となりが実によく確認されます。紫式部が描ききれなかった、あるいは意図的にわずかしか登場させなかった「弘徽殿女御」を中心にタイムスリップしてしまった、現代のいま一つも二つもさえない若者との話が、会話が、興趣を盛り立ててくれます。
 作品のあらすじをここで紹介するのは控えて当然と思いますが、作中の時代考証がとても参考になります。
 平安時代の王朝貴族や女君達の、そして召使達の日常の生活や、以前、拙著の中で、瀬戸内寂聴様が疑問を呈していた「あの長い黒髪を洗う時はどうやって洗ったんでしょうか、洗うと当然濡れますでしょ、重くってしょうがないし、乾かすにも大変ではなかったのではないでしょうか。第一そんなときに男が訪ねて来たら大変ですよね。何の最中に髪がからまってしまい収拾がつかなくなるわ」と。
 この作中で、「女達は月に二回くらい髪を洗うらしい。シャンプーもコンデショナーもなく、米のとぎ汁で洗う。ドライヤーもないし、あの長い髪を乾かすには「三日ほど掛かります。乾くまでは全て休み。何もしなくていい三日間」とありました。  更に召使達は、一様に臭い(私達現代人にとってはの話ですが)そうでして、勿論、入浴何て有りませんから。宮中の天井は高さもあり、又、吹き抜ける風にてそれでもクーラーに慣れてしまった私達には相当に夏は暑かったでしょうし、でもたまに、身体を拭く程度。だから垢じみて、埃っぽく臭いとなる。歯は指に塩をつけて磨き、歯に挟まった食べ物のかすは楊枝のようなものでこそぎだす。冬の寒さをやり過ごすのは現代人には命がけのようです。NHKの大河ドラマ、余り視聴率が良くないようですが、兵庫県の知事さんが「登場人物が余りにも汚い」と話していました。
時代考証にて忠実に再現するとあれが本当のようです。
 しかし「日本の女は、千年前からしたたかだった」とあります。誠にか弱そうに見える女性達ですが、内館牧子様に料理されると其々がその時代の中で必死に生き、時に光源氏よりも逞しく恋をし、生きてきたことが分かります。
 勿論、袖を絞ると涙の水が流れ落ちるほどに泣き過ぎでは、というのも当時の流れであって、それでも公達たちよりは女性の方がしっかりしていたという印象です。

話はかのこ庵のことになります。
ファンケル社製の発芽米粉を餅生地の中に仕込みまして身体に優しい「発芽米大福」を開発、新発売でございます。ファンケル社様からは表示に関してその旨の了承をいただいております。あんは皮むきこしあんを使用しまして、その滑らかさを特徴と致しました。その代わり、餅生地の表面は「氷餅」という少しざらつく感じの仕上げを施しました。一度はお召上がりいただきたい逸品ですとお薦めします。
青竹筒入り「水ようかん」も販売を開始いたしました。
あわせてご愛顧のほどお願い申し上げます。
 実は今週初めから発売開始したのですが、好評でして
 いつの間にか売り切れております。10本以上のお買い求めはご予約いただければありがたい、と存じます。
  5~6月は毎日平均20~25本を、目途に生産して
おりますので。

2012年5月10日木曜日

「噴水の玉とびちがふ五月かな」汀女

 ご無沙汰でございます。すみません。G/Wといいますか5月節句を乗り切るまでが繁忙期でした。しかし何とも不陽気なG/Wでした。5月5日だけ好天に恵まれまして、お蔭様で昨年比を上回りました。それにしても心配してもきりがないのですが、現下の日本における天災(原発は人災ですか)
続きの中で今年の夏が心配です。その一方では太陽の活動にいささか変調の傾向があり、氷河期まではともかく地球が寒冷化するそうです。
 最早、どうせそんなに長生きできる歳ではなくなりましたので、明るい未来が待っていてくれているはずもなく、ただただ「今日無事」を感謝する日々でございます。
 斯様な次第でして、5月7日から9日まで私にといいますか、かのこ庵にとっても思い切っての3連休を致しました。    
 ただし「とちぎ物造り工房」の件もあり、案内状の送付、各自の進捗状況の確認、未配布のままであった市や観光協会さんへのチラシのお届けなど結構多忙を極めました。ただし、そこは私めの事でございます。抜かりなく時間を割いては新緑狩り、ナイター観戦(宇都宮で巨人VS横浜が8日夜6時試合開始でございました)等とそれなりに充実した三連休を取らせていただきました。ブログへの書き込みは気になっては居りましたのですが。
 ところで本日、ありがたいことに今回の「工房」に鈴木栃木市長が伺う旨の連絡がございました。又、スタッフの一人が「チラシが足りない」と、取りに来ましたが少なからず反響が広がっていることを実感しています。

 緑が濃さを増してきた母校です。

新緑の実に爽やかな「日光の霧降の滝」でございます。
今年の積雪量の多さがよく分かります。
 「霧降の滝」の手前のつつじですが先に見える白いつつじは愛子様の御紋となった「五葉つつじ」でございます。実に「清楚」という言葉が相応しい美しさを感じます。
ついでといっては何ですがユニフォームが変わりました「ラミちゃん」です。東京ドームですとその大半が電車等の交通機関を利用しますが、ここ清原球場は圧倒的にマイカーでないと無理という不便なところにあります。私も車で行ったのですが、8回裏が終了した段階で帰りの渋滞が想定されましたので一足早く球場をあとにしました。何しろその時点では3点差がありましたので。しかしラミちゃんが出塁したなというのは微かに聞こえて来ていた球場アナウンスで分かってはいたのですが、まさかあの試合が引き分けとは・・・・・。自宅に戻ってから知り、又、慎之介君の打ち捕ったはずのキャッチャーフライがポロリが敗因とは・・・・。慎之介君でなくても寝つきが悪くなりました。

2012年4月30日月曜日

「惜春」

 少し昔の作品ですが、恥ずかしながら冒頭からぬけぬけと掲載しております。
 道を迷ったのは別な意味で色々とその通りかもしれませんが、名残の春の陽を背中に感じつつ描いていた若き日の己を思い出します。

  『而今至処成荊棘
    却笑春風吹繚乱』

  『又況活計具足 風景不疎
   華解笑 鳥解啼
   木馬長鳴 石牛善走
   天外之青山寡色
   嶺上猿啼露湿中霄之月
   林間鶴唳風廻清曉之松
   春風起時枯木龍吟
   秋葉凋而寒林花散
   玉堦鋪苔鮮之紋
   人面帯煙霞之色
    音塵寂爾
   消息宛然
   一味粛条
   無可趣向』

 化け文字では有りません。突然の漢字の羅列ですが、「正法眼蔵、行持 下」よりの抜粋です。左の文字では何が何だか読めないというか、分からないという私の曲字による代物ですので活字に直しました。
 墨を磨って、その香りが好きなのですが、写経や古文を書写する時間は以前からでは少なくなりましたが、没我のひと時が得られます。漸く初夏の候を迎える季節になって我が体調も、気力もいささか回復して来ているのを感じます。お届けで外に出ますとハナミズキや菜の花が満開に咲いているのを眼にしますが、うれしくなります。
何しろ4月もあっという間に終わりです。薫風の五月ですからねー。
 話題はガラリと変わりますが、司馬遼太郎先生は「八木一夫を評して」というエッセイの中で『伝統工芸は、九割までが技術で、あと一割が魔性である。その魔性がどう昇華するかで作品が決まってしまう。』と書いております。
 6月に予定している『物造り工房』はとても比較には成りませんが、各自の心意気は是非お認めいただきたいと思います。何しろ其々が時間を作っては、会場の補修やチラシや手作りの看板作りに奔走しております。魔性というよりその前向きな気持ちをご理解いただき、ご来場くださいますよう重ねてお願い申し上げます。



2012年4月26日木曜日

「とちぎ物造り工房」の概要が決まりました。

 お待たせしました。
 少し名称が変わりましたが、『とちぎ物造り工房』の概要が決まりました。
 昨年「物造り空間工房」として初めての、異業種がコラボしてのイベントを実施させていただきました。しかし、如何にその道のプロの集まりとはいえ、イベントのプロの集まりではありませんので、お客様に対して、好評では有りましたが、決して充分なおもてなしができたかいささかの反省もありました。そこで、その反省を生かしつつ、今回は商工会議所様の後押しと、全面的な応援を仰ぎながらの、本格的な「工房」のオープンとなりました。
   とはいえ、三日間限定の開場となりますので、日程の調整がおつきにならない方もいらっしゃるかと存じますが、可能なお客様の沢山のご来場をお待ち申し上げます。
 会場は前回とは比較に成らないほど広くなりました。
 そういう意味では前回はプレオープンと言えますか、つまり今回が正式なイベントといえると思います。いずれに致しましても、チケット(2千円)の購入をお願いしてのイベントでございます。ご満足いただける、内容のある3日間と致すべく、すでに準備に入りました者も居ります。事前の打ち合わせ会も何回も開きました。
 何卒ご期待の程、又、ご来場の程、切にお願い申し上げます。チケットのご予約、ご購入、お問い合わせはかのこ庵、又は、各スタッフまでご連絡ください。前回と違いまして、会期中の開場時間中でしたら随時ご入場いただけます。又更に、チケットの裏面には隠れた特典をご用意いたしました。正直「絶対にご損のないイベントです」と申しておきます。

 しかし、あっという間に風薫る季節になりました。あちこち沢山の季節の花が、そして、新緑が眼を楽しませてくれています。ただ残念なのですが、昨日、吹上町の「さしも草」の生育振りを見てきたのですが、何とも寒かったのですね今年は。
 未だ摘み取り出来るほどに成長しておりませんでした。 去年は20日頃に一回目の摘み取りをしていたのですが、恥ずかしくて写真にも撮ってきませんでした。
 G/W明けにならないと無理な様子です。

2012年4月20日金曜日

「さくらがり 雨はふりきぬ ぬるとも花の かげにかくれむ」実方

 しばらくぶりのカキコミです。すみません。相変わらず微熱状態プラス、やや花粉症が始まったようでしてどうにも、集中力が喪失しています。先日は二日連夜の打ち合わせ会や集まりがありまして、殆ど午前様となり反省の日々ですけど、止むを得ない集まりであったことは事実です。商工会議所の喫茶室をお借りしての打ち合わせなどをやっています
 今日は「穀雨」ということですが、今にも雨が降り出しそうな空模様です。桜前線は東北の被災地を通過しているようですが、遅咲きの八重等が栃木では今も楽しめています。柳も芽吹いてきました。あちこち、すでに薫風をも感じさせてくれる季節にやっとなりました。
書きたきことがいくつもあります。でも少しお時間をいただきますことご諒承の程。

2012年4月10日火曜日

さしも草、順調に成長しています。

 お店の前のプランターの「さしも草」が順調に成長しています。時折、風の冷たさを未だ実感いたしますけれど、それでもやっと春本番というところですか。このプランターのさしも草は1m程にしか成長しませんが、吹上町で育成されています物は2m近くにまで育ちます。前回のカキコミで一昨年のさしも草の写真を掲載いたしましたが近くの土手やあぜ道に自生する蓬とさしも草の違いはお分かりいただけたでしょうか。   摘みごろになったさしも草は葉先の細い7つ裂きの形状をしています。昔は食用というよりも、艾(もぐさ)としてその薬効が広く知られ、流通していたとの記録が残っています。
 しかし、艾と言われてもご存じない方も現代では多いと思います。私も、もうしばらく実物を拝見しておりません。
 艾とは、このさしも草を乾燥させ細かく刻み、小さく丸めたりした物の呼称です。この艾を身体のつぼに乗せ、火をつけます。昔々に経験がありますが、その薬効よりも、いやあ熱かった事、熱かった事。どの程度に効果があったかは忘れましたが、現代ではもっと素晴らしい医薬品が氾濫してますのでなんとも分かりません。消滅しかかっているとも思いますが、でも、鍼灸師さんの世界では未だに通用しているはずです。
 艾に関連してもう少し、さしも草について書こうと思っていたのですが、外の雰囲気がどうも気になります。あちこちでたくさんの草花が咲き出しています。
 敬愛し私淑する、故 山口瞳先生の作品に「人生論手帳」というご本がございます。少し長くなりますが引用します。
      
  「・・・で、私は歌いつづけた。
  『橘香る朝風に、高く泳ぐや、鯉のぼり』
 

 私は五月人形というものが好きではない。桃太郎も馗様も安っぽい。三月の雛人形にはかなわない。やっぱり人形は女の児のものだろう。鯉の吹流しはい。あれは実にいい。さっぱりとして、勇壮で、馬鹿馬鹿しい。無意味で、美しい。私は鯉のぼりの無意味は、意味があるはずだと思っている。」
 この時期、店内に上記の文章を貼り出しておきます。
 
 

 漸く風薫る季節です。しかし一ヶ月前までは大方のお客様が「草餅」「草餅」と仰っていましたのが、時には今でもおりますが「かしわ餅」となりました。
 『敷島の 大和心を 人問はば 朝日に匂う 山桜花』
 国学者本居宣長の和歌ですが、日本に生まれ、又、この桜の季節を迎えることが出来た幸せをありがたく思います。

 今夕5時から、「物造り空間工房」の打ち合わせ会がございます。
 6月8~10日の予定ですが、前回より、規模やその内容がだんだん大げさになってまいりました。無事に乗り切れるでしょうか。いささか不安になってまいりました。しかし、もう後戻りは出来ません。こうなっては「乞う ご期待」と申す他ございませんようです。

お店の駐車場やご近所の春景色でございます。




 時々、無断で撮影しておりますが
お許しください。