2012年2月16日木曜日

「花酔ひ」村山由佳

 「日本の四季は世界中のどこより美しい。世界に民族衣装は数多あれど、日本の着物ほど、自然の風物の美しさを写実的にうつしとって表そうとしたものは他にない」
 「それこそ源氏の時代には色が恋であり、恋とは色だった。肉と心をいちいち分けしかも肉のほうを下に置くなどごく近代になってから西欧思想がもたらした弊害でしかない」
 「愛は衝動よ、理性じゃないわ」
 「無感動。無反応。〈愛〉の反対語は憎しみではなく無関心だ」
 「・・・・・・」
 きりがないから止めますが以上は「花酔ひ」という小説からの抜書きです。村山由佳さんは03年に直木賞を受賞してますが、その他にも色々と文学賞を受賞しています。
 お歳を書いては失礼かも知れませんが、未だ四十台のこれからの方です。
 私事ですが現在進行形にて三冊プラス、「絵巻で読む源氏物語」という毎週一冊づつ発行される都合四冊の源氏物語関連の書物を読んでいます。あほですね。
 物語の流れは実に正確に把握できるのですが疲れます。                  

 如何に平安王朝物が好きだとしても、学者ではないのですからもう少し気楽に楽しんで読んでもいいのでしょうが、何故かそんな状態に突入してしまいました。
 そこで気分転換にと、最近出版されたばかりの「花酔ひ」という言葉に引かれて、アマゾンから取り寄せてしまい一気読みとなりました。開高先生のエッセイ集も同時に取り寄せましたが、こちらはじっくりと読んでいくつもりです
 ところで、女流作家のご本は余り読まないのですが、正直、圧倒されました。優れた全ての名作、映画にしても小説にしても、これ等には次から次へときらりと光る台詞や
文章が出てまいります。ましてその構想力において、少なからず私が浅学なことを抜きに考えても、その事象や単語に教えられる事が多い作品に出会うことは素晴らしいことです。
 「花酔ひ」からは凡そ和服に縁のなかった私にとって、色を表す単語ひとつひとつも新鮮でした。勉強してるんですねー。
 しかし、「源氏物語」も「花酔ひ」も表現方法が露骨かそうでないかの違いであって、共にポルノ小説といえると思います。後朝の別れの前の情事を「源氏物語」は文章にしていないだけにて、その流れがはっきりと読み取れます。つまり、和姦か強姦か今で言うところの姦淫か、その後の彼女達へのフォローについても。

 今回はしょもないオッチャンの読書感想文でした。いずれにしても、この事は近いうちにもう少し書き込みさせていただきます。

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