2013年11月24日日曜日

庵主が選んだ「お漬物」です。

 毎年恒例のお漬物が入荷しました。
 庵主が選んだとっておきのお漬物が、大阪の中央市場から直送されてきました。この時期、この漬物群をお待ちのお客様がかなりいらっしゃいます。お電話で「入りましたか」とのお問い合わせが結構ございます。

 今年のお薦めはやはり「聖護院蕪・千枚漬」でしょうか。昨年も好評だったのですが、製造元さんを変えまして、より美味しいと、私が自信を持ってお勧めできる千枚漬が、届きました。つまり味見をしての結果なのです。  
 大変失礼かもしれませんが「千枚漬」というと、京都の例えば「大安」さんなどが有名です。しかし、地元、京都の人がまずお買い求めすることはありません。
 工場の規模を知っているからです。あの規模で、北は北海道にまで直営のお店がある。当然下請けの業者さんに頼らざるを得ません。重ねて失礼ながら、お漬け物はかのこ庵の「芋ようかん」同様、農産物を加工したものです。その日、その年、その場所で少しづつ違いが出てきます。「この材料なら、ここに少し手を加えて・・・」というのが本来ですが、残念ながら、下請け業者さんは、納入先のレシピ以外にその努力を全くとまではいいませんが、そうなりがちです。つまり味に進歩がなくなるのです。それを地元の方はご承知なのです。ですから、いちげんさんともいえる観光客が主なお客様となってしまうのです。

 話が長くなります。実は三十数年前、私は市内の全国的にも知られた漬物会社の研究室も担当しながら、半分は営業として全国を走り廻っておりました。特に名古屋から関西は別格で、ひと月の半分はあの辺りをうろうろしてました。名古屋や大阪の中央市場や、高名な漬物会社の社長たちとは随分お付き合いさせてもらいました。勿論、京都の中央市場や、小さな公設市場まで。
 大阪の中央市場に、漬物とお味噌などを専門に取り扱う会社の、昔でいうなら一番番頭さんと実に意見があってしまいました。 
  
その友人ともいうべき人が、自分で漬物会社を創業してしまいました。私が地元、栃木市で和菓子のお店を開店して間もなくでした。たくさんある全国の漬物の中で、「あそこの品はどうも」とか「あそこはいけるぞ」なんて話し合っていたものです。何しろ研究室も任されておりましたから、美味しさの分析も得意でした。
 結果、和菓子屋でも「甘いものから塩味の品まで扱っても罰は当たらないだろう」との思いでした。本当に信頼のおける漬物会社を知り尽くしてしまったのです。「わてとこも、お菓子だけやのうて、塩気のもんも売ってみよか」となりました。
 庵主おすすめの漬物、かのこ庵が漬物を取り扱う本当の意味をご理解いただけましたでしょうか。(かげでガッテン、ガッテンという声が聞こえ・・・ないか)
 前回、「結論から言うなら『美味いか、不味いか』」こそが問題である」みたいなことを書きました。お客様は正直です。不味いものは売れ残り、処分されます。かのこ庵も同じです。
 勿論お菓子をお褒めいただければとてもうれしいのですが、その庵主が選んだお漬け物も是非、ご評価の程、お願いいたします。
 


 晩秋の景色となりましたが、渋柿ではございませんでした。
 ご近所の子守柿です。 



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