2013年4月30日火曜日

「藤、恋に酔う」

 4月も終わりです。一日一日の早さが、以前と違っていると感じます。カレンダーを五月に切り替えるべく四月のページを切り取っておりましたら、某銀行さんのカレンダーで、今まで気づかなかったちょっといい話が載っているのを、発見いたしました。
 「卯四月」としまして、季節の花が「藤の花」になっておりました。
 さらに「藤の花言葉」として「恋に酔う、懐かしい想い出」とありました。なかなかに気の利いた、そして私の年代にはうれしい「花言葉」でございます。また言われそうですね。色ボケおっちゃんと。
 又々さらに、ページの最下段には和歌が一首添えられております。「久方の 光りのどけき 春の日にしずごころなく 花の散るらん」と。紀友則ですね。日本人が持つ悠久の鑑賞眼、自然美に対する「もののあわれ」感をしっかりと感じさせてくれます。銀行さんのカレンダーとしては、上出来でした。


 数回前の書き込みで、岸恵子さんの「わりなき恋」を書きましたが、その中で、クリムトの作品を挿入しました。実は今、丸谷才一先生の「無地のネクタイ」というエッセイ集を読んでいるところですが、クリムトが登場してまいりました。『日本の「翳し(かげし、としてもののあわれをとりあえずといった感じで表現しています)」がヨーロッパ美術に与えた影響・・・』について考察なさっております。その中で、クリムトの「ダナエ」や「白壁のある農家」などの作品も日本の影響を受けている一例として取り上げておりました。
クリムト《ある女性の肖像》
 この丸谷流ご解釈には、次から次へと私の全く知らない人物も登場します。しかし、影響を与えた人物として、宗達や、等伯、広重、北斎などキリがありません。更に「十七世紀の『武蔵野図』屏風では、右隻中央手前の叢(くさむら)に大きな月がひっそりとひそむ。この図柄が心のどこかにあつたせいだろう、黒澤明の『羅生門』は葉叢越しの太陽を眩しく撮った。これは、たとへばデニス・ホッパーの『イージー・ライダー』をはじめ、数多くの全世界的な模倣を生んだ」とあります。
クリムト《ひまわり》
 誇るべき日本人の感性と、その完成度だと思います。

 「無地のネクタイ」に関しては後日、書き込むつもりです、が、クリムトの登場で一部だけ、ご紹介させていただきました。
 しかし、このご本のタイトル(厳密には「オール読物」の連載)としては、なんとも実にお洒落な名前をつけるものだな、と別な意味で感心いたします。

 私の好きなクリムトの作品を三点アップしましたが、どちらかというと金色をふんだんに使った作品が取り上げられがちです。
 でも彼のデッサン力、実力がよくわかります。
 いずれもう少し書く事にします。

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