2011年8月27日土曜日

「夕顔」という名の和菓子

 源氏物語に出てくる「夕顔」には、暑かった夏のピークを過ぎたかのような、可憐さと、儚さが、そして夏の怪談話を聞かされているような趣を感じます。
 佳人薄命とよく言われます。
 分かりませんが好い女性だったんだろうと想像されます。
 清少納言も「夕顔」について、枕草子の六十五段に書き残しています。
 曰く、あのように「いとをかしかりぬべき花の姿に、実のありさまこそ、いとくちをしけれ」と。「しゃれた花の姿なのに、あの実の形は妙に大きくて不細工ねー」という次第ですが、あの不細工な大きさの実が、細くスライスして干し上げると干瓢という商品になる訳です。
 栃木県は干瓢の生産量が98%ということで当然日本一になります。スイカのごとく畑の中にごろんと沢山の、「ふくべ」とその実をいいますが、寝そべっている姿は圧巻です。この夕顔の実から作られた干瓢ですが、くせのない淡白な味というべきか、余り味はありません。
 しかし、食物繊維やカルシウム、カリウム、鉄分等のミネラルたっぷりの食材なのです。甘塩っぱく、お醤油で煮付けたものが海苔巻きの代表、干瓢巻となるわけですが、実はお客様から家庭菜園で結構な量のふくべが採れたので和菓子にならない、と、相談いただきました。
干瓢の如く、カラカラに干しあげるのではなく、とか、実は色々試行錯誤がありましたが、もう秋が目の前に来ています。そして和菓子ですので「栗味」に仕上げ、大福の芯に入れる事としました。新作『夕顔入り大福』の完成です。九月から発売します。相変わらず変り種の和菓子を作っているかのこ庵ですが売れますかねー。       

 当初、商品名は「夕顔という名の大福」と考えたのですが、少しやりすぎかなーと感じまして素直な名前をつけました。材料に限りがありますので、何時まで取り扱っているかは何ともいえません。一度お試し下さい。

0 件のコメント:

コメントを投稿