2011年6月28日火曜日

「良薬は口に苦し」

 昨日の「創作菓子 緑陰 」について、お買い上げのお客様からお言葉をいただきました。
 「さしも草だけ食べたら苦かったわ」と。
 私の説明不足でした。「お菓子と一緒にお召し上がり下さい」という一言が必要だったのです。
 一個の菓子の全体量からみると、さしも草の量はわずかですが、葉っぱだけを試しにと召し
上がるとは思いませんでした。さしも草は大よもぎ科に属する植物ですから、その薬効は大変
なものがありますが、つまり、「良薬は口に苦し」というわけでございます。よく水洗いをし、少し
アルコールを含ませた布巾で水気を切って使用しています。
 決して食中毒の原因にならない、というより、薬草なんですとお話申し上げました。クレームという程のことではなく、嬉しそうに私の説明をお聞き下さいました。が、反省します。

 栃木市吹上町にある「善応寺」様境内に、一千年以上も前から「もぐさ」の素材として、又、
その薬効により、又、和歌における「歌枕」として広く知られていたよもぎ草でした。
 しかし、時代の流れの中で、消滅寸前だったのですが、お寺の檀家様が、細々と育てていた
さしも草を株分けし育成栽培に成功して、というのはつい最近の出来事です。この辺りの事情に
ついては、書き出すと短編小説になってしまうほど(失礼)詳しいのですが、ここまでにします。     
少し小高い山とも呼べなくはなさそうな「伊吹山」全景と、「伊吹山聖観世音 善応寺」様です。

      沢山の歌人が「さしも草」を和歌の中に詠み込んでいます。なかでも一番有名な和歌が小倉百人一首の第五十一番歌として採られている我等が(?)藤原実方の和歌です。       
      この和歌に対する返し歌として「清少納言」は 『思ひだに  かからぬ山の させも草 たれかいぶきの 里はつげしぞ』と。 そして 『いつしかも 行きてかたらむ 思ふこと いふきの里の 住うかりしを』とも、詠んでいます。 二人の濃密な交際が想像されますでしょうか。           実方は、平安時代の高級貴族として、そして高名な歌人として、更には「陸奥の国の国司」として、現在の宮城県多賀城市に有った国庁舎に赴任して行きますが、その際に栃木市の歌枕の地を通過したことは、明らかな事実として考えています。                             という本日の講義はここまで。      

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